明晰夢の危険性と害
明晰夢の危険性は…
明晰(めいせき)という言葉は、「頭脳明晰」のように、「明らかではっきりしている」、「筋道が通っている」という意味で使われます。しかし、明晰夢は心理学の用語である Lucid dream の訳語で、「意識下の夢」、「意識のある状態での夢」という意味であり、睡眠中に夢であることを自覚して見ている夢のことを指します。
睡眠と夢の関係
夢はレム睡眠(浅い眠り)のときに見るとする説が従来の定説です。レム睡眠では、体を動かす骨格筋が休止状態となりますが、脳は覚醒状態にあり、大脳の前頭葉や海馬など記憶をつかさどる器官の働きによって、脳に保持されている記憶が再生されて夢を見ると考えられてきました。しかし、現在では、脳が覚醒していない「脳の眠り」と称されるノンレム睡眠(深い眠り)のときにも人は夢を見ると考える研究者が増えています。
このように、睡眠と夢との関係については、現在でも十分な解明がなされていません。実証的な研究成果が少なく、人がなぜ、どのようにして夢を見るのかというメカニズムについては現在でも不明です。
明晰夢と通常の夢との違い
人の平均的な睡眠のパターンは、寝付くと最初にノンレム睡眠に入り、1時間以内にもっとも深い眠りとなってから、徐々に浅くなってレム睡眠になります。従来の定説では、レム睡眠に入ってから夢を見るとされています。このパターンを平均約1時間半の周期で繰り返しながら、ノンレム睡眠の眠りも浅くなっていき、起床のときを迎えます。明晰夢は、ノンレム睡眠からレム睡眠に移行する脳の半覚醒状態のときに現れると考えられます。
明晰夢が通常の夢と異なる点は、まず、見ている本人が夢であることを意識している点です。その上で、次に、夢の内容を自分である程度コントロールすることができると言われています。夢の中の状況を自分の好きな方向へ導くことができれば、寝起きはきっと幸せな気分になれることでしょう。精神衛生上、とても良い効果が期待できると思われます。ただし、明晰夢を誰でも見ることができる方法は見つかっていないようです。
明晰夢に危険な要素は見当たらない。