植物油脂の危険性と害
植物油脂の危険性は…
調理用の食用油や肉・魚に含まれる脂肪の成分には、分子構造の違いから大別して飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸という2種類の脂肪酸があります。飽和脂肪酸は人が活動するときのエネルギー源となります。しかし、カロリー不足の食生活でもない限り、飽和脂肪酸は消費しきれずに肥満の原因となり、コレステロールの血中濃度を上昇させて動脈硬化を促進し、心臓疾患や脳血管障害の原因ともなります。日本でも飽食の時代と言われる現在、必須栄養素ではない飽和脂肪酸の摂取を少なくし、不飽和脂肪酸の多い食品を摂取するよう国民に啓蒙する政策が盛んになっています。
ちなみに、不飽和脂肪酸には一価不飽和脂肪酸(オレイン酸など)と多価不飽和脂肪酸(別名・高度不飽和脂肪酸)があります。多価(高度)としては、リノール酸、α-リノレン酸、EPA、DHAがよく知られていて、これらは人の体内で生成することのできない必須脂肪酸です。
食品と脂肪酸の関係
脂肪成分の中に飽和脂肪酸を多く含む食品は、肉類です。牛脂(ヘット)で約50%、ラード(豚の脂肪)で約40%、鶏肉の脂肪ではやや少なめですが約27%が飽和脂肪酸です。ただし、いずれも一価不飽和脂肪酸のオレイン酸が40%以上含まれています。
不飽和脂肪酸は、一価と多価(高度)のどちらも植物性脂肪に多く含まれています。植物性の食用油では、脂肪成分に占める飽和脂肪酸の割合が極端に高いココナッツオイル(約87%)やパーム油(約49%)といった例外もありますが、ほとんどの植物油は飽和脂肪酸が少なく、不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。一価不飽和脂肪酸のオレイン酸を特に多く含むのが、オリーブ油とキャノーラ油(カナダで品種改良されたセイヨウアブラナの菜種油)です。多価不飽和脂肪酸のリノール酸は、大豆油、コーン油、綿実油、胡麻油などに豊富に含まれています。
魚肉の脂肪では、マグロ、サバ、アジなどは鶏肉と同程度に飽和脂肪酸を含んでいますが、一般的に少なめです。肉類と比較して低カロリーである上、一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸のEPAやDHAも多く含まれている点で健康的とされています。
植物性脂肪に偏った食事は不健康?
現在、国内では健康志向から飽和脂肪酸の摂取を避け、不飽和脂肪酸の含有量が多い植物性の食品が好まれているようです。しかし、厚生労働省も脂肪酸の摂取割合を [ 飽和脂肪酸 3 : 一価不飽和 4 : 多価不飽和 3 ] とすることが望ましいとしています。飽和脂肪酸の摂取を極端に減らしたり、不飽和脂肪酸を過剰に摂取したりすることは、けっして健康的とは言えないようです。
ちなみに、植物性脂肪の不飽和脂肪酸に偏った脂肪摂取の悪影響としては、以下のようなことが指摘されています。
① うつ病の増加はリノール酸を多量に含む食用油の普及と連動している。(国内の研究レポート)
② 飽和脂肪酸の摂取量が少ないと脳血管障害のリスクが高まる。(国立がん研究センター)
③ 飽和脂肪酸の摂取量が少ないと脳出血が増加する。(厚生労働省)
しかし、これらはいずれも統計上からの可能性を指摘したに過ぎません。
植物性脂肪も種類によって脂肪酸の含有比率が異なる。
植物性脂肪の危険性について確かな研究成果はない。
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