クマバチの危険性と害
クマバチの危険性は…
クマバチは、体長が 22~23mm もある比較的に大きなハチです。別名キムネクマバチと呼ばれ、胸部の上面から側面にかけて黄色の細い毛が密生し、花にとまっているときにはそれが目立ちます。ただし、それ以外のほとんどの部分は光沢のある黒一色です。好物の藤やニセアカシアの木に向かって高速で飛行するときには人の背丈よりも高いところを飛び、下から見上げると黒々として獰猛そうな大きなハチに見えます。羽音も低いうなるような音で大きく響いてくるため、人に恐怖心を抱かせます。
しかし、クマバチは、ミツバチと同様に花粉や花の蜜を貯える花蜂の仲間です。狩りをするスズメバチのような攻撃性は微塵もなく、至って温厚な性質です。また、人に興味を持って近づいてくることもまずありません。
クマバチのオスには毒針がない
ハチといえば毒針で刺すものと思いがちですが、クマバチで針を持っているのはメスだけで、オスには針がありません。メスは頭部全体が黒く、複眼は切れ長です。一方、オスの頭部は複眼が大きくて丸く、その間の口の上あたりに薄黄色の短い毛が生えた部分があり、そこが白みを帯びた台形か三角形に見えます。その区別がつけば、オスを素手で捕らえて観察することもできます。オスは人にとってまったく無害な昆虫です。
クマバチのメスは人を刺すことがある
クマバチにはミツバチのように集団で営巣する社会性がなく、成虫のオス・メスそれぞれが単独行動をしています。オスは自分で巣を作らず、体のサイズに合った丸い穴であればどんな場所や物でもその中にもぐりこみ、ねぐらにしているようです。一方、メスは産卵して幼虫が成虫になるまで育てるための場所として、樹木の太い枯れ枝や木造建築の垂木・横木などに穴を開け、中を頑丈な口で削って細長い巣穴を作ります。初夏になると、交尾を終えたメスが一匹でカリカリと音を立てて木を削っている光景が見られます。
メスは、営巣を始めて巣穴を掘り終えると、幼虫の餌にする花粉を団子状にして巣穴に貯えるため、餌場と巣の間を活発に行き来します。また、繁殖期間の5月から10月の間に2度産卵しますが、羽化した子供たちはすぐには巣立たず、巣にとどまって母蜂と一緒に冬眠し、翌春に巣立ちます。従って、最初の子供たちが羽化してから、巣の周辺には複数のクマバチが飛び交うことになります。
前述のように、クマバチは性質が温厚で攻撃性がなく、針のあるメスも人を刺すことは滅多にありません。しかし、巣に近づき過ぎたりハチを手でつかんだりすると刺される可能性がありますので、巣の存在に気づいたら距離を保って近づかない方が無難です。
クマバチに刺されても毒性は弱い
クマバチの針はミツバチなどよりも太く、刺された瞬間には強い痛みを感じます。しかし、毒性が比較的に弱いため、刺し傷の炎症は大したことはありません。市販のハチ刺されに効くステロイド外用薬(抗炎症薬)を塗るだけで十分です。ただし、これまでにハチに刺された経験のある人は要注意です。激しい全身性のアレルギー症状であるアナフィラキシーショック(蕁麻疹、呼吸困難、意識障害など)が起こったときは、直ちに医療機関を受診するか救急車を呼んでください。
クマバチは見かけによらずおとなしいハチです。
しかし、メスには近づき過ぎないようご用心。
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